もうすぐ「中秋の名月」がやってきます。"月をみながら、みんなでワイワイお話をして、おいしいお団子をおなかいっぱい食べるのが楽しみだ!"という方もいるかもしれませんね。無論私もその一人です。
「中秋の名月」という月を楽しむ風習は、もともとは中国で行われていた風習でした。昔々の唐の時代から行われ、日本に伝わってきたのは1000年以上も前だと言われています。日本ではこの日、ススキやおだんごをお供えして月を楽しみ、翌月の旧暦9月13日の月もあわせてみる事が一連の風習となっています。その年の収穫をもたらしてくれた自然に感謝する気持ちとともに、ちょうどこの時期は空気も澄んで月が美しく見えることから月自体を眺める事が風習として定着したようです。
"そうそう「中秋の名月」に見える美しい満月がたまらなく好き!"という方もいるかもしれません。しかし、実際のところ「中秋の名月」は必ずしも満月であるとは限りません。旧暦は新月を毎月1日としていたため、15日の月はほぼ満月となりますが、主に2つの理由により1~2日程度満月の日がずれるのです。1つ目は、月が地球の周りを回る道筋(軌道)が真円でなく楕円であるため。そして2つ目は、月の軌道が楕円であるため、地球との距離が近づいたり遠ざかったりすることにより地球が月をひっぱる力の伝わり方が変わり軌道を回る速度が変化するためです。普段は忙しくて感じることのできない、月の特性を「中秋の名月」を機に考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
今年の「中秋の名月」は9月30日。ちょうど日曜日にあたる上に満月となるため、観望会やイベントを企画している公開天文台も多いようです。秋の夜長にゆったりとした時間の流れを感じながら月を眺めてみるのはいかがでしょうか?
参考文献-------------------------------------------------------------
・月のきほん「誠文新光社」白尾元理、・食べる月回る月消える月「社団法人国際文化交友会」